コーヒーの上に生クリームをのせた、ウインナーコーヒー。定番アレンジコーヒーの1つです。
「作法やマナーはあるの?」「混ぜてしまって良いの?」など、どう飲むべきか迷っている方もいるのではないでしょうか。特に、コメダ珈琲店のように生クリームがたっぷりのったウィンナーコーヒーは、飲み方に困るものです。
今回は、ウインナーコーヒーの飲み方や、ウインナーという名前の由来、作り方のポイントをあわせてご紹介します。
この記事を参考に、上手にウィンナーコーヒーを飲みましょう。
目次
ウインナーコーヒーのおいしい飲み方!正式な作法はなし?
見た目の華やかさから、「正式な飲み方があるのでは?」と思わるかもしれません。しかし、実際これといった決まりはありません。
好きな飲み方で構わないのですが、どうせなら上手に飲みたいもの。ウインナーコーヒーの飲み方のコツをご紹介します。
生クリームたっぷりのウインナーコーヒーの飲み方
一番のポイントは、時間に余裕を持って注文することです。
そもそも熱いコーヒーがすぐに冷めてしまわないよう、蓋の役割となるのが生クリーム。気を付けないと、生クリームによってせき止められた熱いコーヒーが、勢いよく口に流れ込んでしまいます。
やけどの恐れがあるので、カップの縁からゆっくりすすって、熱いコーヒーと生クリームとのコントラストを楽しみましょう。猫舌の方は、少し冷めるのを待った方が良いかもしれません。
また、最初から生クリームを食べても構いません。生クリームの形によっては、スプーンで整えた方が飲みやすい場合もあります。
飲み進めると、徐々に生クリームが溶けだして味わいが変化します。少し飲んでかさを減らしてからの方が混ぜやすいでしょう。
カップの底に砂糖(ザラメなど)が入れられているお店もあります。あえて混ぜずに、甘いデザートのように飲み終えるのも1つの楽しみ方です。
シナモンが添えられたウインナーコーヒーの飲み方
ウィンナーコーヒーには、ソーサーに茶色い棒が添えられている場合があります。これは、シナモンスティックと呼ばれるもので、樹皮を乾燥させて作られる香辛料です。
シナモンスティックが添えられている場合は、カップに差し入れておくか、かき混ぜて香りをプラスしましょう。好みの加減で受け皿に取り出します。使わなくても大丈夫です。
生クリーム別添えのウインナーコーヒーの飲み方
コーヒーに生クリームを全部浮かべても良いですし、食べながらコーヒーを飲んでも良いでしょう。一番自由にいただけるスタイルなので、お好みの飲み方を見つけてください。
生クリームが余ってしまったら、トーストやケーキを別途注文し、付けて食べるのも良いでしょう。ウィンナーコーヒーを余すことなく楽しんでください。
アイスウインナーコーヒーの飲み方
アイスウィンナーコーヒーは冷たいので、コーヒーと生クリームが分離してしまいます。ホットコーヒーのように時間とともに溶けてはくれません。
別添えのスプーンで生クリームをいただきながら、飲むと良いでしょう。スプーンが付いていない場合は、店員さんに尋ねてみてください。
ウインナーコーヒー誕生の由来とは
ウィンナーコーヒー誕生の由来は、オーストラリアの首都ウィーンにあります。
ウインナーソーセージが添えられたコーヒーではありません。生クリームをのせたコーヒーのことを、ウインナーコーヒーと呼ぶのはなぜなのでしょうか?
ウインナーコーヒーのウインナーとは?
ウインナーコーヒーのウインナーとは、オーストリアの首都であるウィーンのことです。つまり、ウィーン風のコーヒーという意味になります。
ウインナーソーセージのウインナーも、同様にウィーン風という意味です。ソーセージは、豚肉などの食肉を香辛料や調味料と混ぜ合わせ、薄い膜状の袋(ケージング)に詰めた食肉加工品。いわゆる腸詰めです。
オーストリアのウィーンが発祥といわれるウインナーは、ソーセージの一種。JAS(日本農林規格)によって、「ケージングに羊腸を用い、太さが20mm未満のもの」と規定されています。
日本生まれのウインナーコーヒー
ウインナーソーセージはウィーンが発祥です。ところが、ウインナーコーヒーと呼ばれる飲み物は、ウィーンには存在しません。
ウインナーコーヒーの発祥といわれるのが、東京にある神保町ラドリオ喫茶店。創業は1949年です。
常連のお客さんがウィーンで見かけたという飲み物をヒントに編みだされたのが、ウインナーコーヒのはじまりだそう。当時は、さぞ斬新な飲み方だったことでしょう。
ルーツといわれるアインシュペナー
音楽と芸術の都であるウィーン。そのカフェ文化は、2011年に世界無形文化遺産に登録されるほど親しまれています。
ウィーンのコーヒーはエスプレッソが主流で、アレンジコーヒーが豊富にあります。一般的な飲み方は、コーヒーに泡立てたミルクを注いだメランジュ(Melange)。
日本のウインナーコーヒーと近いものに「一頭立ての馬車」という意味をもつ、アインシュペナーもしくはアインシュペンナー(Einspänner)があります。取っ手のついた縦長のグラスに熱いコーヒーを入れ、その上に生クリームをたっぷり絞った飲み物です。
その昔、馬車の御者が主人を待つ間、暖を取るために飲んでいたことが由来なのだとか。片手で持てることと、生クリームが蓋となり冷めにくいところが好まれたのだそうです。
このアインシュペナー、韓国のおしゃれなカフェでは人気の飲み物の1つになっています。ウィーンのものとの違いは、生クリームの泡立て加減。とろりとやわらかく泡立てた生クリームを、コーヒーにたっぷりのせています。
星乃珈琲店のウインナー珈琲は、このタイプに近いのかもしれませんね。
ウインナーコーヒーの作り方!おうちで楽しむコツを紹介
コーヒーの上に生クリームをのせて作るウインナーコーヒー。インスタントコーヒーとホイップクリームでも簡単に作れます。
ここでは基本のレシピと、美味しく作る上でのポイントをお伝えします。
ウィンナーコーヒーの基本レシピ
- ホットコーヒー:カップ1杯分
- 生クリーム:適量
- 砂糖:適宜
- 生クリームは好みで砂糖を加えてホイップしておきます。(詳しくは後ほど)
- ホットコーヒーは、中深煎りから深煎りの豆を濃いめにいれたものがよく合います。
少なめのお湯で割ったアメリカーノでも良いでしょう。
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- 温めておいたカップにお好みで、コーヒースプーン1杯程度の砂糖を入れておきます。
砂糖はザラメなどの粒子が粗く溶けにくいものがおすすめですが、グラニュー糖などでも構いません。 - ホットコーヒーを注ぎます。
- 好みの量の生クリームのせます。絞り出す場合は、カップの周囲から内側に向けて、ゆっくりぐるりと絞っていきます。
またはスプーンを使って、コーヒーの上にそっとのせます。
味わいを左右するクリーム選び
おいしいウインナーコーヒーのポイントとなるのが、生クリームの選び方です。生クリームは、「クリーム」と「乳等を主要原料とする食品」に分けられます。
生乳から作られたもの。パッケージの数字は乳脂肪分の割合で、脂肪分が高くなるほど濃厚になり、価格も上がります。消費期限が短く、開封したら早めに使い切りることが大切です。
主に乳脂肪分に乳化剤や安定剤などの食品添加物を加えたもの、乳脂肪分と植物性脂肪を配合したもの、植物性脂肪を原材料としたものがあります。
「乳等を主要原料とする食品」の特徴としては、泡立てた時に分離しにくく扱いやすいことや、消費期限が長いこと、リーズナブルなことが挙げられます。ホイップと称されているものはこちらです。
おすすめは、断然「クリーム」です。牛乳本来のまろやかさと濃厚なコクを味わいたいなら、乳脂肪分が高めのものを選ぶと良いでしょう。
泡立て方で変わるウインナーコーヒー
生クリームの固さでも味わいが変わるのが、ウインナーコーヒーの面白いところです。泡立てで重要なのは、よく冷やすこと。生クリームは、泡立てる直前まで冷蔵庫で冷やしておきましょう。
- 大きめのボウルに氷と水を入れ、別のボウルにクリームを入れます。
- 甘くしたい場合は、ここで砂糖を加えてください。生クリーム100mlに対して10gを目安に、好みで加減しましょう。
- 氷水のボウルで底を冷やしながら、泡立て器で空気を抱き込んでいくようにホイップします。
絞り出し袋に入れる場合は、クリームをすくったらピンと角が立つ8分から9分立てを目指します。
ただし、脂肪分の高いものほど固くなり始めてからの状態の変化が早く、泡立て過ぎると分離してしまうので注意が必要です。スプーンですくってコーヒーにのせるなら、もう少しやわらかめでも大丈夫です。
韓国のカフェ風アインシュペナーを作るなら、筋が少し残る程度の6分から7分立てくらいにします。コーヒーとの割合は1:1、もしくは生クリームを多めに入れましょう。
泡立てた生クリームが余ってしまったら、冷凍保存すると良いでしょう。ラップを敷いた金属製バットかシリコントレーに、生クリームを適量ずつ絞りだします。またはスプーンで1杯分ずつ置いていきます。
冷凍庫で完全に凍らせ、冷凍用の保存容器や保存袋に移して保存します。凍った生クリームをコーヒーに浮かべると、簡単ウインナーコーヒーのできあがり。
他の温かい飲み物にのせてもよいですし、料理にも活用できます。
生クリームを使ったアレンジメニュー
ウインナーコーヒーに一工夫。トッピングでアレンジしてみませんか。
シナモンスティックを添えた飲み方を紹介しましたが、粉末のシナモンを振ってみるのも良いですよ。最近は100均などでも様々な香辛料が販売されています。ジンジャーやカルダモンなど、好きな香りのスパイスを試してみましょう。
バニラシュガーやキャラメルシュガーなどのフレーバーシュガーも使えます。
チョコレートソースやチョコスプレー、刻んだナッツで飾ると香ばしさが加わります。
ウィーンのカフェメニューにも、生クリームを使ったアレンジがあります。
ホットコーヒーにコアントローというオレンジリキュールをひとたらし、生クリームをのせてオレンジピールをトッピングしたカクテル。
モーツァルトというチョコレートリキュールを添えたアレンジ。
アインシュペナーにラムやブランデーなどのアルコールを加えると、二頭立ての馬車という意味のフィアーカー (Fiaker)になります。
イタリアンバールでは、エスプレッソに生クリームをのせたものをエスプレッソ・コンパナと呼びます。スターバックスやタリーズなどでもオーダーできる、濃厚なデザートのような飲み方です。
おいしい飲み方でウィンナーコーヒーを楽しもう
コーヒーのほろ苦さと生クリームのまろやかさを味わえる、ウインナーコーヒー。
生クリームをのせただけとはいえ、泡立て方やのせる量でバリエーションが出ます。実に奥の深い飲み方です。
飲みにくさで敬遠していた方も、おうちで好みのウインナコーヒーを作って、試してみてはいかがでしょうか。ぜひ気負わず、ウインナーコーヒーを楽しんでみてくださいね。
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