

エチオピアコーヒーときいて、直ぐにピンときましたか?
エチオピアコーヒーはエチオピアで産出されるコーヒーのこと。モカコーヒーと言えば聞いたことがありますよね?
実はモカこそ、エチオピアを代表するコーヒーのブランドなのです。
エチオピアコーヒーは果実を思わせるフルーティな香りと爽やかな酸味、そして控えめな甘みが特徴のコーヒー。
ワインやハーブなどにも例えられる、とても飲みやすいコーヒーなんです。

と思うかも知れませんね。
そこで、この記事ではエチオピアコーヒーの特徴について解説していきます。
豆の種類によって違う味や香り、おいしい飲み方などコーヒー初心者の方にも分かりやすく、よりコーヒーに親しんでもらえるような内容です。
合わせて、おうちで手軽にエチオピアコーヒーを味わえる商品もご紹介していきます。
ぜひ、コーヒーの国エチオピアのことを知って、エチオピアコーヒーをもっと好きになるきっかけにしてくださいね。
1. エチオピアコーヒーとは?特徴を紹介
「世界最高の香り」と評されるエチオピアコーヒー。まずは次の4点について見ていきたいと思います。
- 産地
- 味わい
- 香り
- 豆の形
産地はどこ?
エチオピアコーヒーの産地はその名の通り、エチオピア。東アフリカに位置する国で、現存する国では世界最古の歴史を持つと言われています。
エチオピアは、国が丸ごとコーヒーベルトに入っているコーヒー大国。国の大半がコーヒー豆を美味しく育てるのに最適な環境なので、有名な産地もたくさんあるのです!
コーヒーベルトとは?
コーヒーノキ(コーヒー豆のなる木の正式名称)はとても育成が難しい植物です。さまざまな条件がそろわないと、良いコーヒー豆が育ちません。
そのため、コーヒーの世界では「標高・気温・雨量・雨の降るタイミング」などコーヒー豆の成長に適したエリアのことを『コーヒーベルト』と呼んでいます。
モカコーヒーとは?
モカに代表されるエチオピアコーヒーですが、「モカ」というのは実はエチオピアだけのものではありません。厳密にはイエメン産、エチオピア産のコーヒーの総称です。
かつて、イエメンにあったモカという港から出荷されるコーヒーを、全てモカコーヒーと呼んでいました。その名前がブランドとして定着したのです。
現在、モカコーヒーにイエメン産の豆はほとんどありません。約90%をエチオピア産が占めています。
エチオピアコーヒーのブランド
エチオピアコーヒーは、産出する地名がそのままブランド名となって販売されることが多いです。
例えば、「モカ・シダモ」「モカ・ハラー」「モカ・カファ」「モカ・イルガチェフェ」などがあります。
中でも、「モカ・イルガチェフェ」と「モカ・カファ」は高品質なブランドとして有名です。
また、「リム」と呼ばれるブランドは、摘み取るまで人の手にかからない100%野生種の豆として注目されています。
エチオピアはコーヒー発祥の地と言われています。
もともと野生のコーヒーノキの原生種が自生する環境で、古くから豆を食する習慣があったからです。
諸説ありますが、コーヒーの木の実を飲用するようになったのは9世紀ごろ。
ヤギ飼いの少年「カルディ」が、赤い木の実を食べたヤギが興奮するのを見て、人も飲み始めたと言われています。
つまり、コーヒーの始まりは「元気になる=眠くならない」木の実の発見によるもの。
(カルディのコーヒー起源説)。カフェインで眠気払いをするのは、昔からなんですね!
そして家庭の味だったコーヒーがアラビアの商人によって広められ、今のようにポピュラーな飲み物になりました。
どんな味がするの?
コーヒーの味には、豆の種類と産地が大きく関わります。エチオピアのコーヒーは『コーヒーが果実である』と実感できる、次の2つの味わいがあります。
- 柑橘系のフルーツのような爽やかな酸味
- まろやかな甘み
「コーヒーは苦いもの」と思っていませんでしたか?
たしかに、苦味もコーヒーの魅力の一つ。その味が好きな方も多いですよね。
でも、エチオピアコーヒーは苦味が少なく、まろやかな甘みのとてもさっぱりとした飲み物なのです。
とくに、柑橘系の果実に例えられるフルーティな風味が特徴。正にコーヒーは木の実、果実だったと改めて思い出させてくれます。
ワインやハーブにも例えられるエチオピアコーヒーは「苦い大人の飲み物」と思っている人にこそ、オススメのスッキリとしたさわやかなコーヒーなのです。
ぜひストレートで、豆そのものの味を試してみてほしいです。
コーヒー豆知識
特徴である酸味と甘味はミルクにも負けることなく、カフェオレにもおススメです。
どんな香りなの?
「香り」はコーヒーの魅力の中で、とても重要な要素の一つ。「世界最高の香り」と言われるエチオピアコーヒーは、次の2つの特徴があります。
- レモンやライムのような明るい柑橘系のフルーティーな香り
- 赤ワインのような香り「モカ香」
とくに、「モカ香」はエチオピア・イエメン産の豆だけが持つ独特なもの。モカの香りに魅せられたコーヒーファンが世界にはたくさんいます。
フルーツの香りに例えられるモカですが、焙煎を深くすると、豆本来のカカオフレーバーが強くなり、チョコレートのような風味にもなります。
現代でもチョコレート風味の製品に「モカ」の名が付けられていますよね?元はと言えば、モカにあるカカオのフレーバーを模して、チョコレート風味に加工したものなんですよ。
コーヒー豆知識
「モカ香(モカフレーバー)」はモカのみが有する独特の香り。そのため、コーヒー豆の中で唯一、その銘柄名を冠した名で呼ばれます。
どんな豆なの?
チオピアのコーヒー豆には、次の2つのことが特徴としてあげられます。
- 野生の原生種と交雑して栽培された豆
- 管理栽培による、超優秀な少数精鋭のブランド豆
エチオピアでは、今も野生の種が交配しています。そのため、品種の特定ができないほど、豊富なキャラクターを持っているのです。
栽培法も独特で、他国のように近代的な農園という形態ではありません。個々の家が自然に生えているコーヒーを収穫する『ガーデンコーヒー』という栽培法が主流です。
このような理由から、エチオピアコーヒーは粒の大きさが揃っていません。
そのため、豆のグレードが高くないコーヒーも見られます。
自然にコーヒーが育つ環境で育てるため、病害虫も少なく、農薬を使う必要もありません。
ほとんどがオーガニックですが、お金に余裕のない生産者は認証を取っていないことも多いです。そのため、豆の価格が上昇していないというお得な面もあります。
一方で、「イルガチェフェ」や「モカ・カファ」など、特定の小規模農家による丹念な選別を経て作られる、高級ブランドの豆もあります。
コーヒー豆知識
エチオピアコーヒーの豆のグレードは、一定の量の中に含まれる欠陥豆の混入率で決められます。G-1からG-9まで等級があり、数字が小さいほど欠陥豆の混入が少ない上級グレードです。
エチオピアのコーヒー文化:コーヒーセレモニー
長い歴史を持つエチオピアでは、古くから生活に根付いているコーヒー文化があります。
その1つが、「カリオモン」と呼ばれる儀式です。これはコーヒーセレモニーとも呼ばれる伝統儀式。冠婚葬祭や大切な客人をもてなすために、女性が執り行います。
生のコーヒー豆を洗うところから始まり、焙煎してコーヒーを飲むまで2~3時間はかかるんだとか!お香をたき、お菓子をつまみながら、にぎやかに会話を楽しむことが正当な作法なのだそうです。
2.エチオピアコーヒーは煎り方、淹れ方で風味が変わる
同じ種類のコーヒー豆でも淹れ方と煎り方(焙煎)で味わいが違います。とくにエチオピアコーヒーには独特の風味があるので楽しみ方もいろいろ。
ここからは、エチオピアコーヒーを美味しく味わうための淹れ方を紹介していきます。
エチオピアコーヒーは、ペーパードリップでやや低めの温度で淹れよう
コーヒーの味は、温度と時間に左右されることが知られています。
コーヒーに興味を持ったあなたはぜひ、淹れ方にも少しこだわってハンドドリップを覚えていくのも楽しいと思います。
淹れる際には下記のことに注意してみましょう。
コーヒーは抽出されるまでのコーヒー豆とお湯の接し方が味に影響します。一般的に適温は92℃前後といわれますが、ザクッというと下記のような関係があります。
- 温度が高い→苦味
- 低い→酸味・糖味が出やすい
- 酸味は早く、苦味は時間をかけて抽出される
上記のことを踏まえると、エチオピアコーヒーはやや低めの温度で手早く淹れると特徴である酸味と甘みが存分に楽しめそうですね。
また、水道水よりも軟水を使った方が味がまろやかになるので、おススメです。
コーヒーの苦味が苦手という人にこそ、世界一と言われる華やかな香りと爽やかな酸味・ほのかな甘みをもつエチオピアコーヒーは向いていますね。
浅煎り(ミディアム)のエチオピアコーヒー
モカの酸味は浅煎りで独特の香りを存分に楽しめます。レモンのフレーバーともジャスミンの花とも例えられる「エチオピア・モカ」は、ハーブティーのようにフルーティな香りとスッキリとした甘みの後味のよい飲み口です。
こんな方におすすめ
- コーヒーより、どちらかというと紅茶に親しんできた方
- 「すっぱいコーヒー」ではなく、本当のコーヒーの酸味を味わってみたい方
中煎り(ハイ)のエチオピアコーヒー
エチオピアコーヒーは、焙煎が深くなればチョコレート寄りの風味になってきます。酸味が複雑でコクもあるので、アイスコーヒーでもエスプレッソでも上質なカカオの風味が楽しめるでしょう。
こんな方におすすめ
- コーヒー本来のカカオの風味を感じたい方
カフェラテで楽しもう
酸味が特徴とされるエチオピアコーヒーですが、自然な甘みとカカオフレーバーが活かされるのでミルクとの相性も良いです
ミルクを足しただけでコクが増し、天然の甘味が十分に感じられるカフェラテはスッキリとした今までに経験したことがない一味違う美味しさ。
深煎りのエチオピアコーヒーを手に入れたら、カフェラテで試してみるのも良いですね。
コーヒー豆知識
カフェの先駆者、トモカコーヒー
エチオピアで飲むコーヒーは各家庭で豆を焙煎し、抽出する「家庭の味」でした。
そこにコーヒーの新しい形を提案した伝説のお店「トモカコーヒー」が現れたのです。
トモカコーヒーは、イタリアから焙煎職人を招き、その場で焙煎してコーヒーを振る舞いました。
トモカコーヒーが始めたこのスタイルは「外出先でコーヒーを飲める場所」として「カフェ」と呼ばれるようになったのだそうです。
このカフェの先祖ともいえる「トモカコーヒー」が東京に出店しています。
本場エチオピアの焙煎コーヒーが東京で飲めるのです。お近くの方は一度味わってみては?
ブレンドするのもオススメ
香りの強いチオピアコーヒーは、他の豆と合わせても負けるということがありません。強い苦みのあるインドネシア(ジャワ)産の豆とブレンドしたモカジャバは特に有名です。
3. オススメのエチオピアコーヒー
ここまで読んで、「実際に飲んでみたい!」と感じているかも知れませんね。筆者もコーヒーの味わいを実感するには「実際に飲んでみる」のが1番だと思います。
でも、ひとくちにコーヒーと言っても売られている状態はさまざま。
大きく分けると2つの種類で売られています。
- レギュラーコーヒー
- インスタントコーヒー
インスタントコーヒー
インスタントコーヒーはお湯を注ぐと溶けてコーヒーができるアレです(笑)。抽出したコーヒー液を乾燥させたもの。
レギュラーコーヒー
レギュラーコーヒーはロースト(焙煎)したコーヒー豆かもしくはそれを挽いて粉状にして売られています。
挽いて粉状になったものにお湯を注ぎ抽出します。粉は溶けずに残り(日本茶と同様)、液体だけを飲みます。いわゆるカフェなどで淹れてもらうコーヒーなどをいいます。
ここではおうちで飲めるレギュラーコーヒーを紹介していきます。レギュラーコーヒーを家で飲むには、少なくとも抽出するための器具が必要となります。
自分の家にある器具に合わせて、適した豆と挽き方を選びましょう。
ここからは「エチオピアコーヒーに興味がでてきたけど、どれから飲んだらいいかわからない」というコーヒー初心者の方にピッタリの商品を紹介していきます。
レギュラーコーヒーのオススメ3選
コーヒーメーカーかペーパードリップセットがあるなら、気軽にレギュラーコーヒーを楽しむことができます。オススメは以下の3点です。
UCC 職人の珈琲 あまい香りのモカブレンド【粉:300g 494円】
「カップから農園まで」一貫して品質管理にこだわりを持つUCC。果肉の旨味が凝縮された豆を「香り」「コク」目的別にWローストしています。
モカの特徴である甘い香りと、やわらかな口当たりが存分に楽しめるコーヒーです。
「酸っぱくて飲めなかったらどうしよう…」と不安な方にオススメです。
カルディコーヒーファーム 有機 デカフェ エチオピアモカ【豆・粉:200g 1080円】
<美味しいカフェインレス見つけました>がキャッチコピーのエチオピア・モカ。
花のような甘い香りが特徴の豆をやや深煎りにして、ローストアーモンドのようなコクをだしました。
カフェインレスなので、おやすみ前のホッと一息に。
家にミルがあるなら、ぜひ試してみてください!
北浜ポート焙煎所 エチオピア・イルガチェフェ ナチュラル【豆・粉:200g 1870円】
大阪にあるスペシャルティコーヒー専門店のエチオピアコーヒー。プロ焙煎士の店主が生豆の選別から行っています。
「完全熱風焙煎機」という焙煎機を使い、火を豆に直接当てないことで、非常にクリアな雑味のない豆を焼き上げます。
注文を受けてから焙煎し、その日のうちに発送してくれます。
豆も売られているので、ミルを持っている方はコーヒー豆を購入するのも良いでしょう
インスタントコーヒーのオススメ
手軽に1杯だけ飲んでみたい方はインスタントコーヒーがおススメ。
お湯を注げばでき上がりなので、とくに器具も必要ありません。モカをブレンドしている商品はたくさんあるので、いろいろ試せておもしろいかも。
モカを手軽に味わうインスタントコーヒーは、以下がおススメです。
「マキシム®ブラックインボックス®」 アソート 8本【オープン価格:約250円 】
味の素AGF。1杯分がお手軽に味わえます。スティックタイプにありがちな糖やミルクが入っていないので、純粋にコーヒーの香りと味わいが楽しめるのがポイント!
「モカ・ブレンド」の他に「コロンビア・ブレンド」「ブラジル・ブレンド」「キリマンジャロ・ブレンド」の4つの味が1杯60円ちょっとで楽しめます。
「丸福珈琲店 インスタントコーヒー モカ」【50g :928円】
コンビニ店とのコラボ商品などで、コーヒーゼリーやプリンにクラシカルなメイドさんのロゴマークに見覚えありませんか?
実は創業80年の歴史あるこだわりの喫茶店。
エチオピア産モカを100%使用したオリジナル商品です。
4. まとめ
世界中にファンの多いエチオピアコーヒー。コーヒーのルーツともいえるコーヒーです。
コーヒー本来の姿を知り、風味を味わうのに最適なのがエチオピアコーヒーかもしれませんね。
コーヒーの苦さが苦手な人は、フルーティな酸味と華やかな香りのエチオピアコーヒーを味わえる『浅煎り』から『中煎り』を選んでみましょう。
カフェモカの語源ともいえるコーヒーの持つ本来のカカオの風味を味わうなら『深煎り』のエチオピアモカに挑戦してみるのもよいですね。
エチオピアでは2008年に農薬の残留問題が起こったことで日本でも一時輸入量が激減した歴史があります。
エチオピアからのコーヒー輸出大国として、日本政府は5年に渡り設備と専門家を投入して技術支援してきました。
今は他に追随を許さない独特の香りと風味が評価される世界に誇るスペシャリティコーヒーの産地となっています。
コーヒーを淹れておもてなしをするお手前の精神や古い国家の歴史など共通点もあり親しみを感じてしまうエチオピアのコーヒー。
ぜひ味わってみてくださいね。