喫茶店のモーニングでもおなじみのトーストセットなど、コーヒーとパンは切っても切れないおいしい間柄です。とはいえ、コーヒーもパンもさまざまな種類が存在します。どうせなら、相性の良いものを選びたいですね。
今回は、基本的なコーヒーに合うパンの組み合わせと、自分好みの組み合わせを見つけるためのヒントをご案内します。普段飲んでいるコーヒーに合うパンを見つけて、おいしく召し上がってくださいね。
目次
コーヒーとパンのフードペアリングとは?
カフェで何かを食べようとしたとき、このコーヒーにはどの食べ物を合わせようかと迷ったことはありませんか。スターバックスコーヒーなどでは、メニューに合わせたフードペアリングを提案されることがあります。
フードペアリングとは、食べ物と飲み物、それぞれの特徴をふまえて組み合わせることです。相性の良いものを組み合わせて調和させたり、お互いの足りないところを補い合って補完させたりすることで、味の相乗効果をねらいます。ワインの世界でいう、マリアージュです。
- コーヒーとパンそれぞれの香り、フレーバーを確認します。
- コーヒーをひと口すすって、味わいます。
- パンをひと口かじって、味を確かめます。
- パンの味が口に残っているうちに、コーヒーを口に含んで味わいます。
実際に試してみて、好みのコーヒーに合う、パンとのペアリングを見つけましょう。
【焙煎度別】コーヒーに合うパンの選び方
コーヒーは、コーヒー豆の焙煎度合いによって、味わいが大きく変化します。コーヒーの焙煎(ロースト)とは、加熱によりコーヒーの生豆を煎る工程のことです。
焙煎の時間経過とともに、淡い緑がかった生豆が褐色へと色づいていきます。色づきの段階で、浅煎りから中煎り、深煎りとなります。ここでは焙煎度合い3つに分けて、コーヒーに合うパンを選んでみました。
浅煎りコーヒーに合うパン
焙煎の段階でいうと、色の浅いシナモンからミディアムロースト、ハイローストに近づきます。コーヒー屋さんにもよりますが、ミディアムローストあたりまでは、浅煎りと呼ばれることがあります。
さらっと飲める浅煎りコーヒーは、しっかりと酸味があり、柑橘系の果物やハーブのような爽やかさも感じます。合う食べ物は、ストレートでいただく紅茶やハーブティーと共通しているといって良いでしょう。
軽めであっさりしたパン、酸味のある果物を使ったパン、生地自体に酸味のあるものがあげられます。
- レーズンブレッド、パン・オ・フリュイ、ドライフルーツのパン
- パン・オ・ルヴァンなど酸味のあるパン
- 野菜サンドなどあっさりめのサンドイッチ
- 薄切りのトーストに甘さ控えめのジャム、マーマレード
- 意外とトーストしない生食パンとも合います
中煎りコーヒーに合うパン
ハイローストからシティローストへ進むと、焙煎度は中煎り、中深煎りとなっていきます。苦みと酸味のバランスが良く、喫茶店のホットコーヒーやハウスブレンドは、この焙煎度合いが多いのではないでしょうか。
どんなパンでも合わせやすいので、焙煎度で迷ったら中煎りを選びましょう。合わせてみて「もうちょっと濃い方がいいな」「重すぎるので浅煎りの方がよかった」など思うことがあれば、次は違う焙煎度でチャレンジしましょう。
- 定番のバタートースト
- オーソドックスなタマゴサンド、ツナサンド
- メロンパンやクリームパン、スタンダードな菓子パン
- あんぱんなど、和素材のパンもよく合います
深煎りコーヒーに合うパン
フルシティローストにダークロースト。さらに極深煎りのフレンチロースト、イタリアンローストが深煎りにあたります。焙煎度が深くなるほど、苦みやコクが増し、重みのある味わいになっていきます。
力強い深煎りコーヒーには、パンチがある食べ応えのあるパンを選びましょう。ミルクを加えたアレンジコーヒーにも深煎りがよく使われるので、乳製品をたっぷり使用した濃厚なパンにもよく合います。
- 味の濃い総菜パン、カレーパン
- 砂糖じゃりじゃりの揚げパン、ドーナッツ
- バターを効かせたクロワッサン、パン・オ・ショコラ、デニッシュ
- こってりしたクロックムッシュやピザトースト
基本的に、浅煎りには味が薄く軽いパン、深煎りになるにつれて味が濃く重いパンを合わせると良いでしょう。
【産地別】コーヒーに合うパンの選び方
コーヒーの産地は世界各地にあります。スペシャルティコーヒーが全盛となり、コーヒーの香りや味わいは、同じ産地の中でも多様化しています。代表的な例ですが、より豊かな組み合わせを見つけるためのヒントとして、コーヒーの産地別に合うパンをピックアップしました。
南米・ブラジルのコーヒーと合わせる
コーヒー豆の生産量トップのブラジル。いわゆるコーヒーらしい味わいのブラジルコーヒーは、ブレンドのベースにもよく使われています。
軽やかで香ばしい苦み、バランスの良い味わいなので、ベーシックなトーストやサンドイッチなどを。ブラジルといえばもちもちのチーズパン、ポンデケージョがありますが、プロセスチーズを使ったチーズフランスやチーズトーストもよく合います。
ブラジルコーヒーの特徴はバランスの良さ!クセが少なく初心者におすすめです!
南米・コロンビアのコーヒーと合わせる
ふくよかな甘みと柔らかさのあるコロンビアコーヒー。マイルドなブレンドのベースにもよく用いられます。
ナッツや木の皮のような香ばしさがあり、アーモンドトーストや、クルミパンなどナッツを使ったパンを軽くトーストすると、より香りが引き立つでしょう。
コロンビアコーヒーの魅力は完璧なバランスにあり!産地ごとの特徴から美味しい飲み方までご紹介します!
中米・グアテマラのコーヒーと合わせる
フルーティーな酸味とチョコレートような甘さとほろ苦さを感じる、グアテマラのコーヒー。
華やかでキレのある味わいに合わせるなら、クランベリーやレーズンなどのドライフルーツとチョコレートが入ったパン、リンゴのデニッシュなどはいかがでしょう。ソースには果物が使われているので、焼きそばパンやカツサンドも合うかもしれません。
酸味と苦味のバランスがたまらない!グアテマラコーヒー豆の特徴とは?
中米・コスタリカのコーヒーと合わせる
熟成したまろやかな甘さと酸味、香りがある、コスタリカのコーヒー。
ジューシーなトロピカルフルーツのデニッシュ、おやつに食べたいクリームパンやスイートポテトデニッシュなど、まったりとした甘みのものを合わせてみましょう。
コスタリカコーヒーは、酸味控えめでダークチョコのような甘味がうまい!豆の特徴を解説
アフリカ・エチオピアのコーヒーと合わせる
フルーティな風味と花のような香りの、エチオピアコーヒー。
ベリー系や柑橘系のフルーツ使ったさわやかな香りのパンと一緒にどうぞ。エチオピアの主食のパンといえるインジェラは、独特の酸味があります。パン・ド・カンパーニュやロッゲンミッシュブロートといった、酸味のあるパンも合うでしょう。
珈琲発祥の地"エチオピア"のコーヒー豆の特徴とは?おすすめの豆も紹介します!
アフリカ・タンザニアのコーヒーと合わせる
キリマンジャロでおなじみのタンザニアのコーヒー。野性味ともいわれる、フレッシュで力強い酸味とコクがあります。
フルーツとクリームチーズのパンやデニッシュ、スモークサーモンとクリームチーズのサンドイッチなど、酸味のあるチーズを使ったパンと合わせてみましょう。
酸味が特徴のキリマンジャロコーヒーの魅力とは?ミルクと相性が悪い理由も解説します!
アジア・インドネシアのコーヒーと合わせる
深いコク、スパイシーな苦味と土っぽさ。マンデリンをはじめとしたインドネシアのコーヒーは、深煎りで飲まれることが多いです。
フォンダンの甘みが濃厚なシナモンロール、スパイスを効かせたカレーパンなど、スパイス同士の相乗効果をねらえます。キャラメルやチョコレートのデニッシュなど、がっつり甘いパンにも負けません。土の香りは、ゴボウやレンコンといった根菜やキノコを使った総菜パンも意外と相性が良いです
マンデリンコーヒーは濃厚ケーキと相性抜群!豆の特徴と美味しい飲み方を紹介します!
牛乳が仲を取り持つカフェオレに合うパン
コーヒー牛乳とパンを一緒に食べるのが好きな方も、いらっしゃるのではないでしょうか。カフェオレ、カフェラテなど、ミルクを使ったアレンジコーヒーはたくさんあります。
またミルククリームのパンやクロワッサン、ブリオッシュなど、乳製品がふんだんに使われたパンも数多くあります。乳製品であるミルクが間を取り持つことにより、組み合わせの幅がさらに広がります。
フランスとイタリアのミルクコーヒーとパン
カフェオレボウルたっぷりのカフェオレに、バターとジャムを塗ったバゲットや、クロワッサンを浸しながら食べるのが、フランスの朝食スタイル。
イタリアでは、クロワッサンに似たコルネットをはじめとした甘いパンや焼き菓子に、砂糖を入れたエスプレッソか泡がたっぷりのカプチーノを合わせます。日本とは違い、シンプルで甘い朝食が好まれています。
コーヒーとパン、自分好みの組み合わせをみつけよう
同じ国のコーヒーといっても、その産地や精製方法でガラリと風味が変わり、さらに焙煎によっても異なる味が生まれます。パンも同じく、ベーカリーによって材料や製法が違うので、同じ名前でも味わいが異なります。
多種多様に広がる、コーヒーとパンのフードペアリングの世界。自分が好きなコーヒーには、どんなパンが合うのか考えてみるのも楽しいですね。それぞれの特徴を知って、自分好みのコーヒーとパンを楽しみましょう。
公式Twitterでは、ひょんなことからFIKAを担当することになってしまった編集長が、コーヒーの新しい発見を日々発信しています。一緒にコーヒーを学んでいきませんか?